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【イベントレポート】想いを伝え、共感を集約するための技術とは  - 自らの編集からはじめるクラウドファンディングスキル -

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イベントレポート(2014年6月27日金曜実施イベント『プレゼンテーション力アップで、クラウドファンディングに挑め! 〜ビジネスを制するのは「情報編集力」!〜』について)

敷居は低いが成功は厳しい実体
クラウドファンディングを越える「コツ」とは

小ロット商品開発からNPO開設、映画制作、アイドル育成など様々なプロジェクトへの出資や協力を、インターネットを介して幅広く、募る仕組みが「クラウドファンディング」だ。
近年は国内だけでも仲介サービスは40を超える数となっている。通常の寄付に比べ、敷居は低いようで冒頭紹介以上にバリエーション豊かなプロジェクトが並ぶ。しかしながら達成金額にすべて至るわけではないようだ。今回のイベントはクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げたいと考えている人、そして成功に向けて今進めている人に必要な「情報編集力」の一端を教えてくれるというものだ。


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冒頭、世界に向けたプロジェクトの応援に特に力をいれているクラウドファンディングサービス「COUNTDOWN」の岡田氏からクラウドファンディングに挑戦するために重要な観点の説明が語られた。ウェブ上でアピールをすることが必須であることから「伝える」技術を学ぶことが成功への基本だという。
想いを適切に伝えることこそ、クラウドファンディングの重要なキーワード、ではどのように自分の想いを伝えていけばいいのだろうか。

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ついで、編集工学者の松岡正剛が校長をつとめるイシス編集学校の吉村氏が登壇し、「編集」というキーワードが注目されているという解説と共に、キャノンの御手洗社長やツイッターの創業者など多くの著名人が「編集」を語るという熱っぽい映像が届けられた。仕事・生活・考え方、さまざまな皆の人生の局面に「編集」という観点は既に存在しており、日常において「編集」を意識することで、ビジネスも余暇も豊かになるという。今回はイシス編集学校が教える編集の「型」を用いて、クラウドファンディングを成功に導くときに欠かせない、想いを「伝える」ための編集術ワークショップがおこなわれた。
「伝える」「編集」「型」。重要なキーワードを抑え、出席者の意識が高まった所でワークショップはスタートした。


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頭の中を意識的に「編集」することは可能
制限が、自己紹介を魅力的に変える

3?4名に分けられたテーブル。本イベントの出席者は特に分類されてはおらず、仕事も年齢もさまざまだという。出席者は或るルールに基づいて自己紹介をおこなう。このルールこそが「型」と呼ばれるものだ。
まずひとつめは、自分の人生を3つのキーワードに分け、順番をつくってつなげるという「三間連結」という型だ。
型を示した用紙とファシリテータの案内に併せて、3分程度の考える時間を経て、テーブルごとに自己紹介をおこなう。


筆者が参加したグループ各人の自己紹介も、皆その人の人生を上手にまとめたものばかりであった。自身の紹介もグループの仲間に、なるほどと言ってもらえ、気持ちが良くなった。
人生のキーワードを3つ抜出し、さらにつなげるという工程が、断片的ではあるか、頭の中にある自身にとっては思い入れがあり過ぎる人生をグッと絞ることでちょうど良いものに編集されたようだ。もうひとつの型、自身をテーマに沿って例えて紹介するという「おかしな私」という自己紹介をおこなう。見立ての型をつかった自己紹介だ。2つの自己紹介を経て、人となりが感じられ、ぐっと親近感をもつことができた。わずか20分程度のことだ。

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すでにある要素を大切にしながら
プロジェクトに新たな切り口を持たせるには

自己紹介ワークショップの後、次は企画を実際に考える。取り組むテーマは「神保町に人を呼び込む企画」を考えるというものだ。
このワークショップにもルール=「型」がある。企画に関わる3要素、人の役割(ロール)、場所や道具など(ツール)そしてそれらを制限・制御する決まり(ルール)。これらを明確にして、その組み合わせと調整に注力する(型の名前としては「ルル三条」)。要素を絞って、組み合わせを起点に企画を考えるというこの制限がどのように役立つのだろう。
まずそれぞれが企画を考えて、次いでグループで再度ブラッシュアップをする流れとなる。企画を調整する方法が絞られているために、対話が明快になる。共通の切り口をやり取りすることが可能なため、時間もそれほどかからない。4チームのグループがあったが、なんと30分もかからずに4つの神保町プロジェクトができあがった。


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なかでも審査員から評価を受けたのは「神保町2時間だけ空く本屋」という企画。古本屋街が休みである日を使って、2時間だけ空いている特設書店を神保町の各所に設けるという企画だ。営業時間に制限を設け、さらに時間の流れを本のセレクトそのものにも反映するという、既存の本屋を使いながらも新しい魅力を見出すというルールを意識した内容が評価を受けた。その他のチームからも、カレーの街という側面と地域に暮らす人々を組み合わせた「子供たちの初めてのカレー宅配サービス」、古い街並みも残る神保町全体を使った「古地図宝探し」などの企画が生まれた。

企画としての完成度はまだ粗削りであろうが、短時間で切り口を持ったアイデアをまとめあげるという目的においてはどれもそん色のないものであり、2時間ちょっとという短い時間の中で、初対面の3?4名が企画をまとめることができるまでになるというこの「型」は有効だ。


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新たな切り口を生み出す「編集」の力は
世界を変えたい人々のツールになるか

編集工学の「型」が、クラウドファンディングという人々の共感装置を上手に使うための道具になることを感じさせたワークショップの数々。今回深堀はされなかったが、クラウドファンディングを具体的に成功に導く過程において、提案者自身を魅力的に伝える術は必須と言えるだろう。いままで用いていたものに再度価値づけするという「編集」の型を応用できれば、自分たちのアイデアを、斬新で身近で共感度の高いプロジェクトに作り込むことができるかもしれない。
実際にプロジェクトを進めていく人や、頭の中がまだ整理しきれていない人にとって、役立つ術を学ぶイントロダクションとして、本イベントは興味深いものだったであろう。「クラウドファンディング」を目指す人のためにも、さらに具体的なイベントが作られることを期待したい。

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■イシス編集学校WEBサイト 
http://es.isis.ne.jp/

■COUNTDOWN WEBサイト
http://www.countdown-x.com/ja/

今回のイベントレポート筆者はEDITORY会員の池田さんです。
EDITORYスタッフとは違う視点、EDITORY会員の視点も知っていただく事で、より皆様にEDITORYの魅了をお伝えできると考えています。

■池田さん(EDITORY会員)
イベント運営、ウェブ制作などを生業としています。
「次回は、さらにアグレッシブな"異分野との共同企画"を期待しています」